図書館を利用しない理由

自分には図書館を利用する習慣がない。小学校の近くに、区内最大の中央図書館があったので、少しは通ったものの、興味をそそる本に出合えず、次第に足が遠のいた。自治体の基幹図書館が収蔵するような文献とニーズがマッチするには微妙な年齢だったのかもしれない。

学校図書館は、小学生時分には時々借りて読んだが、中・高と上がるにつれて利用頻度が減った。大学の図書館は数回しか入ったことがなく、在学中、一度も蔵書を見ていない。検索しても、自分の求める本は無かったからだ。なので卒業論文に必要な文献がどうしても見つけられず、その時だけ、国立国会図書館を頼った。

社会人になって、会社に図書室や共有ライブラリーがあっても、やはりほとんど利用しなかった。会社のライブラリーは多くの場合、業務で使用しなくなった図書が収蔵される。つまりその時点で情報が古い。記録としての価値しか見いだせなかったからだ。

そうして自分は、「借りた本だと、書き込めない、端を折れない、鍋敷きにできない、覚えた頁を破って食べられない・・・だから自分で買う」とうそぶきつつ、本は買って読むスタイルを貫いている。

借りた本だと、書き込めない、端を折れない、鍋敷きにできない、覚えた頁を破って食べられない・・・だから自分で買う

幸い、実家から自転車で行ける距離に早稲田の古書店街があったので、かなりの頻度で通った。ただし古書店では、目的買いが難しい。当時30~40軒ほどもあった古書店の棚を片っ端から順に見て回り、運よく「出会い」のあった本を買っていた。

そういう選び方だから、買ってもすぐに読むとは限らない。だが、自費購入のメリットは、「積んでおける」だ。だから積んでおく。そうしたら、高校へ通う頃には、自室の壁はすべて本棚になった。

再読しない本、きっと読まない本の断捨離を始めたのは、かなり年齢が行ってから。
読み終わったらその場で捨てるようになったのは、さらに後年のこと。

ちなみに普段は、何冊かを同時並行に読み進め、その日・その時の気分で読む本を替えている。鞄にも常に複数冊入っている。半日~1日で読んでしまう本もあれば、読み切るのに数か月かける本もある。決してその本が面白くないから/気が乗らないからではない。

1冊を読了していなくても、何か別のテーマに関心を抱くと、そっちに飛んでしまう。関連本を数冊読んで満足するまで戻ってこない…だから、その間、元の本は忘れられている〔仕事中、ふと思い立って、別ウィンドウで作業を始めたら、終えてウィンドウを閉じるまで、元々やっていたことを忘れているのに近い〕。

だからますます、「借りた本を一定期間内に読んで返す」という所業は考えにくい。

また、科学系、技術系、学術系の本は、読んだあともリファレンスとして手近に置いときたい場合が少なくない。それこそリファレンスは、専有で持ち歩き、書き込みや付箋やドッグイヤーも好きなように施したい。だから、会社業務に必要なマニュアルや解説書も、経費購入だと私物扱いできないので、手の届く価格なら自費購入した。


…こうやって書く行為が、「なぜ自分は図書館を利用しないのだろう」という疑問に対して、自分で解き明かす作業になっている…というのは表向き。実は簡単な理由だ。

「借りてくる・返しに行く」が面倒くさいから。

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