「コップ半分のミルク」というテスト

飲んでいたミルクがコップ半分になったとき、「もう半分しかない」と思うか「まだ半分もある」と思うかで、その人の思考パターンが判るという有名なテストがある。「もう」と見ればネガティブ思考、「まだ」と見ればポジティブ思考というわけだ。リソースに対する人の性向を端的にとらえるテストだが、問題がないわけではない。それは、

どのくらいミルクを飲みたいかで、判断は異なる

からだ。

単純なテストであるがゆえに、状況設定が少々乱暴である。これを「ジョッキ半分のビール」か何かにしてくれると、すこしは実感が沸くのだが、それにしても「なくなったらお代わりすればいい」と思えば、「もう」も「まだ」もない。下戸の人は、上から数センチ減っただけで「もうこんなに飲んだ(→自分にしてはよく飲めたほうだ)」と思うかもしれない。ビールが大好きでガブガブ飲む人は、途中はほとんど気にせず、下から数センチになって初めて、「もう、こんなに減った→お代わりしなくちゃ」と思うだけだろう。

人はその時々で判断を変える。「もう」「まだ」の判断は、そのときの条件・状況によってさまざまである。「コップ半分のミルク」というテストを見かけるたびに、いつもその乱暴な設定が気になって仕方がない。だから、ドヤ顔で解説している者にも共感できない。同じようなテストやクイズ、パラドクスにはわりと頻繁に出会う。乱暴な設定に納得できず、結果にもその解説にも納得いかないので、もやもや感だけが残ってしまうわけだ。

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