「田舎の温泉旅館」モデル

本館・別館・新館+ANNEX…と渡り廊下でつながっている状態。

  • 建築工法もまちまち
  • 1フロアあたりの高さ〔階高〕もバラバラ
  • 本館の5階から新館の4階につながっていたりする

勘定系、情報系、清算、販売、営業、生産管理、ワークフロー、文書管理 etc.のように、様々な情報システムがバラバラに乱立している状態を私は、「田舎の温泉旅館」モデルと呼んでいる。

成長する企業は、多かれ少なかれこの状態を経験する。

発進したてのベンチャーや小世帯の企業なら、ALL IN ONE のパッケージを入れればそれで済む場合がある。けれども、企業が成長するにつれて、いろいろと足りない機能が見えてくる。それを補うために特化した専用システムを追加していくと、ほどなく、社内にシステムが乱立し始める。

その状態が、次々と建て増しした温泉旅館に似ているという意味だ。ただしこれは、企業が成長してきた証〔あかし〕なのだから、揶揄はできない。

多くのシステムの使い分けは、ユーザーに負担を強い、利便性を損なう。無数のIDとパスワードも弊害になるだろう。データー形式やコード体系がバラバラなので、システム管理や保守も困難を極める。

そしてほどなく、個別機能をひとまとめにする、統合システムの構想が持ち上がる。

いや、正確には、分散から収束にむけた次の循環に入る。統合できるのは、その日その時点で会社が持っている機構だけだ。だから、成長を続けていけば、また、必要なシステムが増えていく。

こうして、成長とともに着る服を替えるように、企業情報システムは会社の成長と共に姿を変えていく。

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